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発酵トピックス

発酵トピックス

漬物と調味料 その2

漬物の話

水アメ

漬け物の副材料として水アメもよく用いられる。とくに工業的な場合に多い。水アメを加えると漬け物に美しいつやがでる。また、同時に、甘味料としても利用できる。水アメは、イモやトウモロコシのデンプンを糖化酵素で分解し、それを脱水して作ったものである。

砂糖

漬け物の副材料として用いる砂糖は、漬け物によって種類を変えることが必要である。砂糖漬けのように、砂糖を大量に使って材料を保存するようなものでは、なるべく甘味の少ないものを使わないと甘ったるくなる。また、還元糖を含まない純度の高い砂糖を使用しないと、褐変しやすい。材料中のアミノ酸と、還元糖は化学反応しやすく、その結果褐色物質を作るからである。そこでザラメ糖やグラニュー糖のような純度の高い砂糖を用いるとよい。粕漬けや、その他の漬け物の甘味付けに用いるものとしては、上白糖、あるいは黒砂糖は特有の風味をもつ。したがって、香り付けとして有効な場合がある。たとえば、梅漬けなどに、少量の黒砂糖を加えフレーバーを出す場合がある。

ブドウ糖

ブドウ糖も漬け物の甘味料としてよく用いられる。しかし、アミノ酸などを多く含むような野菜類では、ブドウ糖を甘味料として用いると、ブドウ糖とアミノ酸が反応して褐変現象を起こし、漬け物がきたなくなることが多い。ブドウ糖には結晶・粉末・液状などがある。
ブドウ糖の甘味度は砂糖の70%程度であるが、清涼感を伴う独特の風味をもっている。ただし砂糖に混入すると、吸湿性が大きくなる。逆に、水分を保たせようとする場合にはブドウ糖を混入すると乾きが遅く、漬け物に有利な点も多い。

異性化糖

ブドウ糖溶液に異性化酵素を作用させ、ブドウ糖の一部を果糖に変化させたもの。通常はこれを液状のまま使用する。果糖の甘味はブドウ糖より強いが、砂糖と混合すると、よい甘味が出るので、広い範囲の加工食品に使われている。漬け物も同様である。異性化糖を使用すると、甘味度が高いので、使用糖量を少なくすることもできて有利である。

サッカリンナトリウム

人工甘味料の一つ。無色~白色の結晶で水にとけやすい。甘味度はショ糖の約500倍。濃度が高くなると、苦味を強く感じるようになる。サッカリンナトリウムは、使用量および使用食品が規制されている。漬け物は、許可品目の一つである。酸味に対しては、比較的なじみやすい甘味なので、漬け物のように、酸味を含むものでは有利である。また、糖類を加えると発酵しやすくなるようなものも、サッカリンナトリウムを使うことで、不要な発酵を防止することができる。

マルチトール

還元麦芽糖ともよぶ。水アメから製造される非吸収性の糖類。甘味はショ糖の60~70%、水アメとほとんど性質は同じである。水アメの主成分である麦芽糖(マルトース)は、ブドウ糖二分子が結合したものであるが、マルチトールは、このマルトースに水素を添加して糖アルコールの形にしたものである。抗酸化性、保水性が強く、微生物による利用も悪いから、漬け物としてよい甘味剤である。なおマルチトールは液状で用いられる。

うま味調味料

漬け物にうま味調味料を少量使用し漬け物に味をつけることもある。うま味調味料として用いられるものはグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム・ぐあにる酸ナトリウム・5’-リボヌクレオチドナトリウム・コハク酸ナトリウムなどがある。グルタミン酸ナトリウムはコンブの旨味、イノシン酸ナトリウムはカツオ節の旨味、グアニル酸ナトリウムはシイタケの旨味、5’-リボヌクレオチドナトリウムはカツオとシイタケの旨味の混合物、コハク酸ナトリウムは貝類の旨味をもっている。このうち、グルタミン酸ナトリウムと、グルタミン酸ナトリウムにイノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウムあるいは5’-リボヌクレオチドナトリウムを配合したものはうま味調味料として市販されている。コハク酸ナトリウムも食品添加物として市販されている。
いずれも多量に用いると味がくどくなり、かえって漬け物の味を損う。なお、グルタミン酸ナトリウムは、どこのメーカーのものでも品質は同じである。

ミョウバン

ふつうミョウバンと呼ばれているのは、アルミニウムの硫酸塩とカリウム塩が結合して複塩を作ったカリウムアルミニウムミョウバンである。純粋なものは無色の結晶である。ミョウバンは漬け物用としては、結晶水をとばした焼きミョウバンを用いる。大へん水に溶けやすく、25℃のとき、100gに対して44.15gの溶解度をもっている。
ミョウバンは、水に溶かすことによってアルミニウムも溶ける。このアルミニウムがナスなどの野菜に含まれるアントシアン系の色素と結合して濃紺色の美しい安定な色となる。ナスの漬け物に必ずミョウバンが利用されるのは、ナスの紺色を安定させ、美しい色を楽しませるためである。ただし、保存漬けのように長期間漬けるときにミョウバンを使うと、ナスの紺色が中心までしみ込み、見ばえがあまりよくない。
ミョウバンは、ほんの少量で十分アントシアン色素を固定できる。またミョウバンは多く使うと渋味を感じるので、用いる量は少量で十分である。また、少し加熱したミョウバンの水溶液の中を通すと、瞬時に美しくアントシアンが固定する。漬け物では、食塩に少量のミョウバンを混ぜて使用してもよい。

(新・食品事典 河野友美編 真珠書院 参照)

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