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【Q&A】ぬか漬について

Q&A

Q1.ぬか床からセメダインのようなにおいがするのですが、どうしたらこのにおいがなくなりますか。
Q2.ぬか床からアルコールのにおいがします。ぬか漬もアルコールっぽくて美味しくないのですが、どうしたら良いですか。
Q3.ぬか床の表面が黒っぽく変色します。取り除いてもすぐっ黒っぽくなるのですが、大丈夫ですか。
Q4.ぬか床の塩分を下げる方法を教えてください。
Q5.ぬか床の水分が多くなってきたときに漬けると良い材料はなんですか。
Q6.ぬか床作りの際の最初に入れた昆布や唐辛子は、いつまで入れておいて良いのでしょうか。
Q7.ミョウバンを加えてなすの鮮やかな色を鮮明にしたぬか漬を試みていますがうまくいきません。どこに問題があるのでしょうか。
Q8.ぬか床が酸っぱくなってきたのですがどうしたらよいですか。
Q9.ぬか床を長期使わない時の保存方法を教えてください。
Q10.カビが生える原因と対処法を教えてください。
Q12.ぬかが減ってきたので、増やしたいのですがどうしたらよいですか。




Q1.ぬか床からセメダインのようなにおいがするのですが、どうしたらこのにおいがなくなりますか。


【原因】セメダインのようなにおいの原因は、 産膜酵母と言われる酵母の一種が、ぬか床の表面などを中心に繁殖してしまったことによります。この酵母の一種がセメダインのような、フルーツが傷んだような臭いを出します。産膜酵母の繁殖は、ぬか床の塩分が低下や、ぬか床のかき混ぜ不足、気温の高い時期の過剰発酵などによって引き起こされます。

【対策】
・毎日ぬか床をよくかき混ぜること
・適時、余分な水分を吸い取り、塩を足すこと
・なるべく涼しい場所で保管すること
嫌なにおいを弱めるのには、からしや、お茶の葉、山椒の実を入れても効果的です。また、ぬか床を一度冷凍して自然解凍すると、全体的ににおいが弱くなります。


Q2.ぬか床からアルコールのにおいがします。ぬか漬もアルコールっぽくて美味しくないのですが、どうしたら良いですか。


【原因】ぬか床からアルコールのにおいが出るのは、 アルコール臭を出す酵母が過剰に発酵したことによります。 ぬか床のかき混ぜ不足や、野菜の漬け込みによる塩分の低下、気温が高すぎることによる発酵過剰などで起こります。

【対策】良くかき混ぜぬか床容器の通気性をよくすること、またなるべく涼しい場所か冷蔵庫で保存をします。しばらく漬けるのを休み、塩(床がゆるいようであればぬかも)を足してかき混ぜるだけにして、床が落ち着くのを待ちます。塩が少ないと過剰発酵になりやすいので、時々小さじ1杯程度追加するか、野菜を漬け込む際に2~3つまみずつ加えることをお勧めします。


Q3.ぬか床の表面が黒っぽく変色します。取り除いてもすぐっ黒っぽくなるのですが、大丈夫ですか。


【原因】これはぬか床の酸化によるものが原因とされています。
ぬか床に含まれる脂質やミネラル成分が空気中の酸素と結びついて黒くなってしまうのです。そのため、空気に触れている部分はどんどん変色してきてしまいます。
もうひとつの原因として、ぬか床に含まれるアミノ酸と糖類の反応が挙げられます。この反応はメイラード反応といってアミノカルボニル反応の一種です。
この反応は食品によく利用される反応で、醤油などの色もこの反応によるものです。そのほかに、味噌や酒粕などが、時間が経つにつれて色が濃くなるのと同じです。多少ぬか漬の風味とは異なるため、風味が悪いこともありますが、害があるわけではないのでご安心ください。

【対策】なるべく涼しい場所で保管をすると、変色を遅らせることができます。また、新しいぬかを足すことで、色も白くなります。


Q4.ぬか床の塩分を下げる方法を教えてください。


●床がゆるい場合
煎りぬかを加えます。市販のぬか漬の素を使用される場合は、その素に塩が入ってないことを確認してください。

●床が固い場合
お水を足していただいても良いですが、ビールや日本酒などの残り酒を加えていただいても風味・旨味がまします。入れすぎはアルコール臭くなるので注意しましょう。

●床の硬さを変えたくない場合
いりぬかを今の床の硬さと同じになるように、水などでねってから加え、満遍なくかき混ぜます。

床の量を増やしたくないときは、床を少しとって、ポリ袋などに移し冷凍しておくと、種菌としてや床が少なくなったときに足していただけます。

塩分濃度を下げすぎますと、酵母が活発になってアルコール臭の強い床になったり、乳酸菌が活発になって酸味が出すぎたりしてしまいますので、気をつけてください。


Q5.ぬか床の水分が多くなってきたときに漬けると良い材料はなんですか。


ぬか床の水分を取りつつ、なおかつ旨味をアップさせてくれる画期的な漬け材料があります。それは「干し椎茸」です。
漬け込み時間は2日~10日間くらいが良いかと思います。ぬか床の旨味成分が増え、塩あたりもまろやかになります。

かりかりの干ししいたけはぬか床の余分な水分をすって、ふっくらとなります。干ししいたけはそのまま食べるととても塩辛いので、洗ってぬかを落とした後、刻んでチャーハンや焼きうどん、野菜炒めの具にします。とってもおいしいですよ。

また、やわらかい床と相性がいい野菜が「なす」です。
なすはスポンジ状で、ぬか床に漬け込んで込んでも漬かりが悪いですが、柔らかい床だとおいしく漬けられます。

(補足)
ぬか床にぬかを足したいのにまだたっぷりあると言うときは、少しぬか床を冷凍保存しましょう。もしもの時に役立ちます。
また、葉もの野菜を漬け込むといっぱい水が出ます。このときぬか床の中で水をしぼらないでください。できるだけぬか床に水分を増やさないようにしましょう。


Q6.ぬか床作りの際の最初に入れた昆布や唐辛子は、いつまで入れておいて良いのでしょうか。


昆布は2~3日漬けたら取り出して食べられますが、入れておいても問題ありません。細かく切った昆布や唐辛子を入れた場合は、取り出すことができないので、そのままでもかまいません。もし、後から取り出したい場合は、お茶パックなどに入れて漬けると、細かいものでも扱いやすいので便利です。

■昆布について
昆布は、ぬか床にうまみを付けるのに適しています。うまみが強いぬか漬がお好みでしたら、時々昆布を漬けておくのがお勧めです。ずっと漬け続ける必要はございませんが、味が薄くなった場合や、逆に塩辛くなりすぎた場合などに漬けると効果的です。(うまみは塩辛さを弱める効果もあります。鰹節や干し椎茸でも旨味が増します。)

■唐辛子について
細かく刻んだ唐辛子は、取り除かなくてもけっこうです。唐辛子の効果としましては、ピリ辛味を付けることと、ぬか床の防腐作用もあります。ぬか漬に辛味が欲しい場合や、ぬか床の臭いが悪くなってきた場合に追加されると良いと思います。


Q7.ミョウバンを加えてなすの鮮やかな色を鮮明にしたぬか漬を試みていますがうまくいきません。どこに問題があるのでしょうか。


なすの色落ちを予防するにはミョウバン(焼ミョウバンも同様の効果があります)が効果的です。ミョウバンはなすの色素と反応し、酸化しやすい色素が壊れるのを防いでくれます。下記にぬか床へのミョウバンの使い方を記載しますので、よろしければご参考にしてください。

■なすに直接すり込む方法
なす1本に、塩一つまみとミョウバン耳かき1杯程度をよくすり込むようにし、ぬか床に漬けこみます。

■ぬか床に、ミョウバンを添加する方法
ぬか床1kgに対し5g程度のミョウバンを加え、よく混ぜます。ぬか床に野菜を漬け込む際、ぬか床をなすによくこすりつけてから、床に漬けこみます。

どちらの場合も、なすの皮にミョウバンをすり込むようにすることがポイントです。またミョウバンを使うと、漬けている間の色落ちを防ぐことは出来ますが、床から出すと徐々に色が悪くなってしまいます。ですので、食べられる分だけ漬け込み、ぬか床から出したら、お早めにお召し上がりください。


Q8.ぬか床が酸っぱくなってきたのですがどうしたらよいですか。


漬けた野菜が酸っぱくて食べにくくなってくるのは、乳酸菌が生え過ぎて、ぬか床が過剰発酵になってしまったからです。

野菜を全部取り出し、からし(粉でも練りでも良い)を大さじ1杯ほど加えるか、卵の殻(2~3個分)の薄皮を取り除き、洗ってよく乾燥させたものを砕いて加え、よく混ぜると効果があります。塩を足すことでも発酵が抑えられます。また、3日くらいは野菜は漬けずに混ぜるだけにして床を休ませましょう。
からしは菌の繁殖を抑える働きがあり、卵の殻はその成分であるカルシウムが酸っぱい原因の酸に作用して酸味を抑える働きをします。

また、新しいタカのツメを入れますと、抗菌作用で効果があります。その場合は古いものを取り除き、新しいものと交換してください。

さらに、できるだけ涼しいところに置くことで、乳酸菌の活動を押さえ、床の酸味が増えるのを防ぐことができます。冷蔵庫に入るスペースが無いときは家の中でも涼しいところに置き、床の温度が上がらないようにしてください。真夏にはぬか床のに凍らした保冷剤やペットボトルなどを差し込んで床の温度を下げる方法も有効的です。


Q9.ぬか床を長期使わない時の保存方法を教えてください。


ぬか床を保存する場合は、昔は表面に塩をふって冷暗所といわれていましたが、現在では冷凍保存をする方が手軽なので、こちらをおすすめしています。

ぬか床から野菜を全部取り除き、密封容器やチャック付きのポリ袋に移して冷凍します。ぬか床の量が多い場合は、2~3枚のポリ袋に小分けすれば冷凍庫にも収納しやすく便利です。次に使う場合は、自然解凍すれば大丈夫です。

また、私たちの経験になりますが、ぬか床を冷凍した後に解凍すると、においが弱くなることありましたので、ぬか床のにおいが気になる時には冷凍→解凍をしていました。

ぬか床の量が非常に多く冷凍保存ができない場合は、新しいぬかと塩を足して少し床をかためにし、表面に塩をぬか床が見えなくなるまでふって、冷暗所(できれば冷蔵庫)で保存をしてください。
次に使う場合は、塩と表面のぬか床を取り除いてから、よくかき混ぜて漬け始めます。おそらく塩辛いと思いますので、最初は捨て漬をしてください。


Q10.カビが生える原因と対処法を教えてください。


ぬか床の表面に生えるカビは産膜酵母と呼ばれるもので、接着剤のような嫌なにおいをだし、ぬか床の旨味と風味を損ねてしまいます。
カビの生える原因としては次の4点があげられます。対処法もあわせて紹介いたしますので、参考にしてください。

●原因1● かき混ぜ回数は足りていますか?
冬場は1・2日に1回、夏場の常温管理は1日2回以上、底のぬか床が表面へくるようによくかき混ぜてください。かき混ぜ方が足りないと、空気を嫌う乳酸菌が活発になり、酸を多く作り出してしまいます。

●原因2● 塩分は低くなっていませんか?
野菜を漬け込んでいくと、床の塩分が吸収され、また、野菜からたくさんの水が出ます。塩分が少なくなると乳酸菌が活発になりやすく、酸の生成が過剰に行われます。漬け込む野菜の量と床の量にもよりますが、4・5回漬けたら野菜の漬かり具合を見ながら小さじ1程度の塩を加えてください。

●原因3● ぬか床の管理温度が高くありませんか?
ぬか床の乳酸菌の適温は20~25℃です。これより高すぎると酸が出て酸っぱくなります。温度が高い場合は、冷蔵庫で冷やしたり、凍らしたペットボトルや蓄冷剤をぬか床の中央に差し込んだりして、ぬか床を冷やしてあげてください。

●原因4● 水分が多くなっていませんか?
野菜を漬け込んでいくことで、野菜から水分が出ます。ぬか床が柔らかくなりすぎると過剰発酵しやすくなります。水溜りができるようならスポンジやキッチンペーパーで吸い取ったり、新たにぬかを足したりして水分を調節してください。

●その他の対処法●
・表面に白いフワフワしたものが浮いてきたら、それは「カビ」です。カビの生えた部分を多めに取り除き、残ったぬか床をボールなどに取り出して、漬けていた野菜は全部出します。
・容器とふたをきれいに洗い、日光に当てて乾かしてからぬか床を戻す。3、4日は野菜を漬けないで、毎日底からていねいに全体をかき混ぜます。
・床がふわっとして弾力がなくなってきたら、カビが生える前兆。漬けている野菜を取り出して、ていねいに底から全体をかき混ぜ様子を見てください。
基本的に、生えたカビが少量でしたら、そのままぬか床が均一になるようによくかき混ぜて頂いても大丈夫です。ただし、たくさんのカビが生えてしまった場合や衛生面が気になる場合は、表面のカビとぬか床を1センチくらい取り除き、お好みで塩やからし粉などを加えよくかき混ぜてください。


Q11.ぬかが減ってきたので、増やしたいのですがどうしたらよいですか。


ぬか床を増やす方法としましては、市販のいりぬかやぬか漬けの素、精米所で販売しているぬか等を足すことで増やすことができます。
ただし、それぞれに注意点があるので気をつけてください。

●市販のいりぬかやぬか漬けの素の場合
製品に塩が入っているかを確認し、塩が入っている場合は、商品の裏面に記載されている使用方法を参考に床をつくります。
おおよその目安としましては、ぬか漬けの素と同量の水を加えてください。硬さはお好みになるように調節してください。
使用していたぬか床を種床として加えると、発酵が進みやすくなります。後は、ぬか床がよく発酵するように、手入れや野菜の漬け込みを行ってください。

塩が入っていないいりぬかの場合は、いりぬか1kgに対し、塩100g、水1~1.2リットルを加えてよく混ぜ床を作ります。
後は、上記のとおり種床を加え手入れをしてください。

●生ぬかをご使用の場合
衛生面から考えますと、一度フライパンで炒っていりぬかにしましょう。
<いりぬかの作り方>
生ぬかの処理の仕方としては、まず、生ぬかに含まれているごみを取り除いてから、フライパンに入れ、乾煎りします。
温度計でぬかの中心が70度以上になっていることを確認し、さらに15分程加熱します。(この時に焦げつくと、苦いぬか床になってしまいますので、しゃもじ等でかき混ぜ、焦がさないように注意してください)

煎り終わったら粗熱を取り、ぬか床に加えてください。
その時に塩も添加し、塩分調節を行います。

ぬか床を上手に管理する方法は、毎日のお手入れです。
地味な作業ですが、頑張ってお手入れをしてください。